(2)労働生産性分析で一人当たりの効率をみる
労働投入に対してどの程度の付加価値を上げているかを意味し、具体的には役職員1人当たりの付加価値額という指標で分析されます。
この指標は付加価値額を職員数で割って計算しますが、職員数は正規従業員の所定労働時間に換算しなければなりません。
この指標を生産高で交差させると下記のような展開となり、これより労働生産性を高める方策として次の事項が誘導されます。
1. 付加価値率を高めること
2. 作業改善等によって労働効率を高めて、職員1人当たりの収益を高める
1.人件費は総額人件費で把握する
人件費は、どの病医院にとっても三大経費の一つになっています。
総額人件費が経営に与えている影響を分析し、人件費が病医院にとって適正な水準であるかを確認し、今後の総額人件費の目標を設定します。
特に重要な指標は「労働分配率」・「1人当り医業収益」・「1人当り付加価値(労働生産性)」・「1人当り経常利益」・「1人当り人件費」です。
業界平均値と比較することにより、経営改善の切り口を発見することができます。
2.付加価値の分配と労働分配率
医院が得た付加価値は、例えば人件費、設備投資、内部留保というようにさまざまな形に配分されることになります。
この配分のバランスがくずれた場合、経営上の問題が引き起こされることになるため、適正に実施される必要があります。
付加価値に占める割合で最も大きい金額となるのは人件費です。
人件費に係る代表的な指標として、その適正度合いを分析するのが労働分配率です。
労働分配率は、人件費を付加価値で割って計算されます。
これが大きくなると人件費負担が大きくなることを意味しています。
日本の病医院の労働分配率は、平均で62%強となっています。
この比率は高ければ高いほど「ヒト」による仕事が多いことを示します。
「ヒト」の力で仕事をする部分が他医院に比べて大きい場合、たいていは生産性があまりよくないという評価をすることになります。
したがって、労働分配率は同じ業界の中で他社と比較して高いか低いかが問題となってくるわけです。
この式の意味は、医業収益に占める人件費の割合を減らすか、医業収益に占める付加価値の割合を増やせば、労働分配率が小さくなることを表しています。
人件費/職員数は「1人当たりの人件費」で給与水準を表します。
一方、付加価値/職員数は「労働生産性」です。