自院の経営課題 整理法

3 事例病院の分析結果と問題点

A病院のキャッシュフロー計算書から、以下のことがわかります。

 【分析ポイント】

1. 営業キャッシュフローの増減 

平成17年1月期 1,420千円

平成18年1月期 6,330千円 

【キャッシュ増加要因】

税引前当期純利益の増加、買掛債務の増加、その他、流動負債の増加 

【キャッシュ減少要因】

棚卸資産の増加   

2. 投資キャッシュフローの増減 

平成17年1月期 -7,987千円

平成18年1月期 -5,170千円   

3. フリーキャッシュフローの増減 

平成17年1月期 -6,567千円

平成18年1月期 +1,160千円 

平成17年1月期のフリーキャッシュフローはマイナスであったが、平成18年1月期ではプラスに転じている。

傾向としては良い傾向にある。   

4. 財務キャッシュフローの増減 

平成17年1月期 10,942千円

平成18年1月期 -2,113千円 

平成17年1月期は長期借入金50,000千円調達しており、フリーキャッシュフローの減少分を財務活動でカバーした形になっている。   

5. 合計のキャッシュフローの増減 

平成17年1月期 4,375千円

平成18年1月期 -953千円

フリーキャッシュフローがプラスに転じたため、キャッシュの減少を最小限に食い止めている。

 【分析ポイントから抽出した問題点】

1. 税引前当期純利益が少ない

2. 支払利息が増加している

3. 棚卸資産が増加している

4. 長期借入金が減少し、その分短期借入金が増加している。

短期借入金を返済するだけの利益が確保できていないため、資金繰りに影響が出る可能性が高い。

関連記事

  1. ◆患者申出療養の概要
  2. 6 外部データとの比較で、自院の現実を直視する
  3. ◆2015年度国民医療費、42兆3,644億円
  4. クリニックの経営改善 2 理想の財務バランスとは
  5. 1-4 キャッシュフロー分析で資金上の問題点を抽出する
  6. ◆平成29年医療法改正の概要
  7. 1-3 貸借対照表分析で財務上の問題点を抽出する
  8. 7 損益分岐点分析で自院の経営安全度をみる

◇企業経営者向け

  1. 業績向上と発展

◇ピックアップ記事

1 変動損益計算書を活用すると見えなかったものが見えてくる

(1)変動損益計算書とは変動損益計算書は、医業収益から変動費を控除し限界利益を表示する様式で、直…

1-1 経営課題抽出の体系

 1 決算書分析の体系決算書分析では、損益計算書や貸借対照表などの決算書(財務諸表)を様々な…

4 外部データとの比較で、自院の財務体質をみる

(1)短期的な支払能力をみるバランスのとれた安定した経営が行なわれているかどうか、病医院を取りま…

◇医業・福祉経営者向け

  1. クリニックの経営改善



アーカイブ

PAGE TOP