4. 個別分析
「部門別」や「商品別」などの分析を行い、決算書に表れている数値の要因分析を詳細に行ってきます。
これらは、決算書からはつかむことはできませんので、別途、分析資料の作成が必要になります。
(2)比率分析
比率分析には、収益性分析、安全性分析、生産性分析、成長性分析等があります。
実数分析では、仮に、経営成績の良否の判定を同業他社と比較しようとした場合、業種別の同業他社平均値と比較することになりますが、会社の歴史も違い、また、社員数も異なるため、単純に実数を並べても比較しにくいところがあります。
この場合、実数を比率に置き換えると、規模の大小にとらわれず比較することができます。
1. 収益性の分析で確認すべきポイント
資本利益率(総資本対経常利益率、経営資本対営業利益率、株主資本対経常利益率)
売上高利益率(売上高対売上総利益率、売上高対経常利益率)
資本回転率(総資本回転率、流動資産回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率)
2. 安全性の分析で確認すべきポイント
当座比率
固定比率
固定長期適合率
自己資本比率
3. 生産性分析で確認すべきポイント
付加価値労働生産性
資本生産性
労働分配率
4. 成長性分析で確認すべきポイント
売上高・増加率
限界利益・増加率
営業利益・増加率
経常利益・増加率
自己資本・増加率
損益分岐点の分析で不況抵抗力を見る損益分岐点は、利益も損失も出ない「収支トントン」の売上高をいいます。
その金額が実際の売上高よりも低水準にあるときは、不況のときでも抵抗力が強いことを意味します。
つまり、万が一売上高が損益分岐点まで減少したとしても、赤字にはならない採算ラインを把握することになります。
こうした計算をもとに経営分析することを「損益分岐点分析」といいます。
損益分岐点分析は、古くからの経営分析手法ですが、直感的に理解しやすいので、今日でもよく用いられます。
損益分岐点比率は低ければ低いほど収益性が高く、かつ売上減少に耐える力が強いことを意味し、経営が安定していると判断されます。
8割程度が理想であるとされていますが、業種により異なり、一般には9割を、若干、上回る程度の業種が多いのが現状です。
この損益分岐点分析を行うには、売上と費用の関係を明らかにするために、費用を「変動費」・「固定費」に分けて考える必要があります。