変動費は医業収益に比例して増減しますが、医薬品費、診療材料費や検査委託費(外注費)など、外的要因で価格が高騰し医業収益と関係なく増加するものもあります。
調達先を吟味し、条件のよい先への切替えなどを検討しなければなりません。
また、病医院内でも不良在庫の一掃、歩留まりの向上などマイナス要因を除去する取り組みを怠ると、変動費は自然と増加します。
仕入先や外注先との長い取引きの中で仕入代や外注費の削減は、慣れあいの関係なため、言い出しにくいことは非常に多くあります。
しかし、変動費の削減は非常に重要です。
発想を変えて、明日から今と同じビジネスを始めるとしたら、どこから仕入れるか、どこに外注を頼むかなど、当然、安くて質のいい会社を探します。
その発想で再度、仕入先、外注先を再検討してみる必要があります。
5 固定費の推移から増減の妥当性を検証する
固定費は増加した科目を精査し、増加の要因に妥当性があるか検討しなければなりません。
固定費はすべて圧縮すべきものではないからです。
人件費は、適正な労働分配率の範囲内にあるかを見ます。
また、政策的に人材を採用した場合は生産性が向上したかを確認します。
治験費など将来の利益確保に向けてかけるべき費用(利益貢献経費)についても、妥当性を吟味します。
唯一、圧縮して良い固定費は節減可能費としてとらえ、可能な限り圧縮させることです。
「販管費は削減しない」という考え方もあります。医業収益が下がっているときに販管費を削減すると、ますます収益が下がります。
当たり前の事なのですが、不況になると広告宣伝費削減、といった話がすぐ出てきます。
同じく利益貢献費の削減も然りです。
研究研修費や教育訓練費といった投資費用も不況時のコストダウン項目に上がりがちです。
固定費を削減するリストラ政策で利益のバランスをとろうとし続けると、固定費削減→付加価値減少→固定費削減→付加価値減少となっていって利益はゼロになってしまいます。
不況下においても経営とは常に何に投資すべきかを考えないといけないのです。