(4)変動損益計算書を3期比較する
卸売業A社の事例
【損益計算書分析】 3期比較変動損益計算書分析
【分析ポイント1 大筋で傾向をとらえる】
決算書の分析では、まず大枠で収益状況がどのようになっているかを捉えます。
傾向は、上記の4つのパターンに分類できます。
増収増益であれば、過去の取り組みが経営成果となって現われていることになります。
減収減益であれば過去の取り組みが不十分であったか、取組方針が間違っていた、競合の発生、商品の陳腐化などが挙げられます。
【分析ポイント2 その傾向の要因分析をする】
1. 収益の傾向
売上高の推移
イ)増加要因: 販売数量の増加、販売単価の上昇、顧客数の増加、営業力の強化、新商品の開発
ロ)減少要因: 販売数量の減少、販売単価の低下、顧客数の減少、営業力の弱体化、競合の発生、商品の陳腐化、商品開発の遅れ
2. 3つの利益推移
限界利益の推移
イ)増加要因: 変動費率の低下、直接材料費の低下、外注費の低下、内製区分の見直し、仕入の減少
ロ)減少要因: 変動費率の上昇、販売単価の低下、直接材料費の増加、外注費の増加、仕入の増加
営業利益の推移
イ)増加要因: 人件費の減少、その他固定費の減少
ロ)減少要因: 人件費の増加、その他固定費(不動産賃借料、水道光熱費、通信費、減価償却費、旅費交通費、接待交際費等の増加)
経常利益の推移
イ)増加要因: 支払利息の減少、受取利息・配当金の増加
ロ)減少要因: 支払利息の増加、受取利息・配当金の減少
3. 部門別損益を分析する
得意先数・客数の増減を分析する
営業所別の売上分析をする
地域別の売上分析をする
商品・製品別の売上分析をする
売上や利益の増減を分析するには、この部門別の分析が必須です。
大枠での傾向がつかめたら、その傾向を生み出した要因を探っていきます。
分析の項目は、1.売上高の推移、2.三大利益(限界利益、営業利益、経常利益)の推移、3.部門別損益の推移の3項目となります。